セッティング時間とクオリティの関係

準備をはじめて撮影に至るまでの時間と、
作品の完成度は比例すると思う。

時間をかければいいってものではないが、
周りを見ていると丁寧にセッティングしている現場はいいものをつくっている。

ちゃんとカメラをリグに乗せ、マットボックスをつけ、
照明をセットし、数回リハーサルを重ねて撮った作品は、やっぱり奥行きがちがう。

このあいだ映画美学校に通っている後輩の短編を手伝いに行ったら、
リハーサルを何度となく繰り返し、
「もういけるだろう」というところで今度は「本テスト」をやる。
そして、そこをクリアしてようやく「本番!」なのだ。

曰く、「『本番』という、その場限りの集中力を極限まで高めるために、何度もテストをやる」とのこと。思わず納得した。


「その場限り」

これは何かを撮る上で非常に大事なことだ。

映るものに真実味をもたせるということは、本来一度きりである現実を再現することに他ならない。


周到な準備をせずともカメラを回せる。
これは一見良いことのように見えて、
実は単に作品の質を落としている、ということもありえるかもしれない。


何がいいたいかというと、
あのBlackmagic Cinema Cameraを擁護したいだけです。

「本体を箱から出しただけでは使えない」ことが
非難されているBMCCですが、

普通に考えて、それは当たり前のこと。
フィルムカメラの扱いのめんどくささに比べれば、全然屁でもない。

・記録先は高価なSSDだからガンガン回せない
→フィルムはもっと高価です

・バッテリーが内蔵式で90分しかもたない
→シネマカメラはほとんどそうです。外部バッテリー使います。

・取っ手が無い
→リグに装着せずに安定した映像を撮るつもり?

いろいろカメラがお手軽になりすぎたせいで、
本来最低限気をくばるべきポイントまで疎かになりつつある昨今。

自分はBMCCを使います。

動画集 2013 Early

Winds of Autumn

使用カメラ:Canon 5D Mark3/Mark2/7D
使用レンズ:Zeiss

テクニカラーネスタイル使用。
さんざんネガキャンされてたMark3。
でもやっぱり、使う人が使うとこんな素晴らしい映像が撮れる。

Brie Stoner no b.s. # 1 - together forever

使用カメラ:Panasonic GH1(Hacked)
使用レンズ:Canon FD 50mm

GH1/2/3は地球上に存在するほぼすべてのレンズが使用できることも魅力。
FDレンズで撮られたこの映像は、柔らかな光の質感がフィルムのよう。
(良くも悪くもGHシリーズは光の状態によってまるでカメラが変わったように画が変化する)

Trip to Mexico

使用カメラ:Blackmagic Cinema Camera
使用レンズ:Sigma/Canonのズームレンズ

Lightroomでカラコレしたというから驚き。
(どうやって出力したんだ?)
13ストップもあるというダイナミックレンジ、恐るべし。
こんな豊かな色は見たことがない。

MAN AND BEAST

使用カメラ:Canon C500

4Kの完璧な美しさ。
Canon RAWという特殊な生データを吐き出す。
そのデータ重量、1TB/1時間。
果たしてMac Pro以外にこの超重量級データを快適に扱える民生マシンがあるのだろうか。

NEX-FS100

前に「なぜビデオカメラじゃなくて一眼で撮るんですか?」

という質問をいただいたので、ビデオカメラについての初エントリ。

結論からいうと、

映像表現が多彩である

ってことに尽きると思ってます。

ビデオカメラのセンサーは小さく、どう撮っても被写界深度は深いし、色もあんまり出てこない。

デジタル一眼はビデオカメラのセンサーの何倍も大きいセンサーを持ってるので、表現にかかわるもどかしさを取り除いてくれます。

でも、ビデオにはビデオの、一眼には一眼のメリット、デメリットがあるのも事実。

ビデオカメラには標準装備の音声収録部、一眼には十分な性能はありません。
同じく標準装備の内蔵NDフィルターも一眼にはありません。

表現のために手間をとるか、あるいはその瞬間を逃さない機敏さ・安定性をとるか。
使う人によってどこに重きを置くかは変わってきます。


そんな中。
発売からけっこう経っており、後継機も発売されてますが、

SONYNEX FS-100がけっこうバランスがとれたいいカメラなのではないかと。

ビデオカメラの操作性と、一眼の多彩なレンズ群を使用できるマウント部の融合。
センサーはスーパー35で、従来なら1000万円のシネマカメラの特権だった。
それが現在は25万円ほどで手に入る。
5Dmark3とBlackmagic cinema cameraと同じ価格帯だ。

5Dと比べると取り回しが格段によく、
BMCCと比べると周辺機器を揃えずとも実用でき導入が楽。

内蔵NDフィルターがなかったり、いろいろ微妙に抜け落ちてる部分はあるけれど、
ポイントはおさえた使いやすいカメラだと思います。


カラコレ裏技

本日はカラコレの話。

カラコレとは。

Color correctionの略で、広義での色補正のこと。
(ここではカラーグレーディングも含んで説明します)

日本ではなじみが薄いけど、海の向こうでは作品のイメージを左右する重要な行程として扱われている。

ちなみにあのBlackmagic designは実はカラコレソフトから出発した。

カラコレをする際に気をつけなければならないこと、それは

収録時にできるだけフラットに収録する

ことに尽きる。


どういうことかというと、コントラストのきいたメリハリのある画は、
それ自体完結しているので編集でいじれないのだ。
いじるとノイズが出たり、トーンがめちゃくちゃになる。

それを避け、うまく着色するためにできるだけフラットに撮る必要がある。

たとえば、こんな画。

これはBlackmagic cinema cameraで撮影された画。

5Dなどの一眼でそのまま撮るとこうなる。

(画像は江夏さんのブログよりお借りしました。)

上の画像はフラットに撮られていて、まだいじる余裕がある。
下の画像はもうキツキツといった具合で、カラコレするのはこわい。

なかなかシネマカメラのようには収録できないのが現状。

それでどうするか。
実は禁じ手がある。
それをこれから説明しようと思う。
あくまで簡易的なカラコレであり、子供騙しのようなものです


Premiere pro CS5.5で解説します。

この映像を例にとって手順を説明します。

ぱっと見てもらえればわかる通り、
シネマカメラで撮られたデータではありません。
コントラストがきつく、硬い画です。
この状態で色をいじるとなかなか大変です。

Premiereの画面です。

① 3ウェイカラー補正で黒の出力レベルを変更する

通常はこんな感じ。
このマスターの黒出力レベルを


70にしてみる。

すると

全体的にフラットな画に。

ここからはトーンカーブをいじったりしても大丈夫。

② トーンカーブ適用


俗にいうSカーブ。
赤を下げて青を上げるとハリウッド映画風味に。

最終的な画がこれ。


いかがでしょうか?

普通にカラコレするより、やや自由度は高いかと。

興味があったらお試しあれ。


使用画像:短編映画『RELAY』(2013)より

費用対効果

機材のこと。

これは自分が自主制作をはじめた頃から思っていることだが、
機材の面で作品の質を落とすようなことはあってはならないと思う。

映像、音、出力の問題は観客にしてみればクリアできていて当たり前

画質が悪いのは論外。
過酷な撮影環境に耐えられないカメラも論外。
そもそも24Pで撮れるのか。
音質はどうか。
編集にかかる負荷をそのパソコンは耐えられるか。
編集ソフトは様々な要求に応えられるか。
グレーディングも自在にできるのか。
レンダリングに時間はかかりすぎないか。
映像の吸い出しにラグが出るHDDを使っていないか。
OSは安定しているか…

これらの面でのトラブルは、作品づくり以前の問題だ。

相応のものをそろえるのには金がかかる。
でも皆必死で金を貯めたり工夫したりしてクリアしてきた。

機材はその時点でBESTなのが大前提だ。

Mac mini

映像編集にはかなりのスペックを持ったPCが要る。
そして、かなりのスペックを持ったPCにはかなりのお金がかかる。

CPU、メモリ、GPU、HDD(SSD)、インターフェース…

それなりのものを買わないと、編集中にパソコンが大破してしまうおそれがある。
(冗談でもなんでもなく、実際壊れた)

今日はお金のない学生向けにおすすめのマシンをご紹介。

Mac mini

上位モデルはなんとクアッドコア
マシンの速度を測るベンチマークテストでは昔のMac Proに迫る暴虐武人ぶり
一世代前のiMacよりも高性能。
これってすごいことです。

これと安価なモニター買ってつないじゃえば、十万円以内で最強の編集マシンが完成。

あとはPremiere ProなりFCPなり入れちゃってガンガン編集しちゃってください。

まじでおすすめ。

動画編集時のHDDについて

今回はファイルの置き場であるHDDについて。

当然だけどディスクの質がちゃんとしてないと、映像の吸い出しが遅くてカクカクしたり、編集時にトラブルが起こりやすくなる。

Blackmagic Disk Speed Testベンチマークテストを行ってみるとよし。

iMac 27インチ7,200rpm (Mid 2011)でこれくらい。

だいたい100MB/sec超くらいだと、動画編集では特に不満もなく動作する。
でも欲を言えば200〜300MB/secくらい欲しい。
ちなみに2010年製のMacBook Pro内蔵ディスクは70MB/sec程度。

次にUSB2.0接続のHDD。
転送速度はだいたい20〜40MB/sec程度になると思う。
HDの動画を編集する時は、できる限りUSB2.0のHDDにファイルを置くことは避けた方がいい。

Macならfirewire800接続のHDDがおすすめだ。USB2.0の2倍の速度が出る。

また、最近は新しい規格が2つ導入されている。

USB3.0Thunderboltだ。

速度比較はこんな感じらしい。

※Thunderboltはまだ2012年に発売されたMacにしかついてないのでご注意。

さてさて。

上記はHDDの数値だ。
現在は、それに代わる未来のブツが存在している。
SSDというやつだ。

これがもう、めちゃくちゃに速い。
高いんだけどね。

HDDとどれくらい違うかはこの記事を参照。

BUFFALO Thunderbolt&USB3.0用 ポータブルHDD 1TB HD-PA1.0TU3

BUFFALO Thunderbolt&USB3.0用 ポータブルHDD 1TB HD-PA1.0TU3

LaCie 外付けデュアルストレージドライブ Little Big Disk Thunderbolt 1TB LCH-LB1TTB

LaCie 外付けデュアルストレージドライブ Little Big Disk Thunderbolt 1TB LCH-LB1TTB